カジノ法案とは?
カジノ法案とは、日本国内にカジノ(正式にはIR)を作るために用意された法案を総称する言葉です。
正式には「IR推進法」と呼ばれ、2016年12月に成立しました。
また、2018年7月にはIR整備法が成立し、日本国内にカジノを生み出す下地はすでに完成しています。
日本では、カジノは賭博行為として法律で禁じられていました。
韓国を含む大多数の国が、すでにカジノを合法化・一部合法化しています。
したがって、日本のカジノファンにとって待望の法案と言えます。
IRとカジノの違い
カジノ法案の正式名称はIR推進法です。
IRという言葉が浸透していない日本では、今もカジノ法案という言葉が頻繁に使われています。
カジノとIRの違いは、カジノが「設備」であることに対し、IRは「施設」と考えると分かりやすいです。
IRは「Integrated Resort」の略で、「統合型リゾート」という日本語に置き換えられます。
IRにある施設として、
- カジノ
- ホテル
- 展示場
- 会議場
- レクリエーション施設
などがあります。
つまり、街中にカジノだけがポツンと誕生するのではなく、カジノを含むリゾートを誕生させる計画がIR推進法です。
日本国内のカジノ誕生は2020年代後半が有力
カジノ法案は、現在進行形で進んでいます。
すでに日本国内にカジノが誕生することは確定していますが、誘致先が確定していません。
今後数年をかけて誘致候補地が立候補し、国によって審査が行われ、基準を満たしていると判断された地域でIRが開業します。
日本国内のカジノ誕生は、早ければ2025年頃と見られていました。
しかし、新型コロナウイルスの蔓延によって事業計画に遅れが生じてしまいました。
現段階では、日本国内のカジノ誕生・開業は2020年代後半が有力と見られています。
また、IRは、最大で3ヶ所に誕生する見込みです。
カジノ法案によって得られるメリット
カジノ法案は、国策として強烈に推進している法案です。
賛否両論のある法案ですが、日本にカジノが誕生するとどんなメリットを見込めるのでしょうか。
カジノの好き嫌いは関係なく、メリットとして感じられるポイントは多いです。
- 観光客が増えて経済効果が生まれる
- これまでにはなかった魅力的な施設ができる
- 雇用される日本人が増える
- 利用するギャンブルの選択肢が増える
観光客が増えて経済効果が生まれる
最大のメリットとして考えられるのは、カジノを目的とした観光客が増えることです。
観光客としては、
- 日本を訪れる外国人観光客(インバウンド)
- カジノのある都市を訪れる日本人観光客
に期待することが出来ます。
IRには、ホテルやエンターテインメント施設が含まれるため、カジノを目的としない一般の旅行者が増加する可能性もあります。
「カジノを目的にわざわざ日本まで来る外国人はいない」という声はあります。
しかし、前例として、IRを誘致して成功したシンガポールがあります。
シンガポールを象徴するIR「マリーナ・ベイ・サンズ」は、インスタグラマーがこぞって押し寄せるほど評判の施設として、世界中の人々に認知されました。
IRの誘致により、観光収入が倍以上になりました。
したがって、IRの誘致は、かなり大きい経済効果を生み出すと期待できます。
アメリカのカジノ会社大手「シティグループ」による試算では、東京や大阪といった地域にIRを作った場合、市場規模は1兆5千億円以上とされています。
したがって、地域活性化を実現させるために、最高の材料となることは確実です。
これまでにはなかった魅力的な施設ができる
IRにはカジノだけでなく、
- 一流ホテル
- レストラン
- ショッピングセンター
など、様々な施設が併設されます。
したがって、IRの誘致によって、これまでは地元になかった魅力的な施設が増えます。
様々な魅力的な施設が増えることで、住んでいる地域の価値が上がる可能性が高いです。
IRは、カジノばかりが注目されています。
実際は、
- 親子で楽しめるエンターテインメント
- 友達や恋人同士で盛り上がれるイベント会場
なども併設されます。
カジノに興味がない人でも楽しめる施設が生まれることも、カジノ法案によって市民が得られるメリットの一つです。
雇用される日本人が増える
経済効果の中で特に無視できないのが、雇用者数の増加です。
IRは、とても大規模な施設なので、必然的に各施設での雇用が生まれます。
したがって、失業率を引き下げられる可能性が高いです。
特に、カジノ関連の業種の場合、今まで国内の企業が参入できなかった業種です。
したがって、資金力のある外資系企業が積極的に関わるものと考えられます。
企業によっては、日本人スタッフを高賃金で採用する可能性もあり、地域や国が潤う要因になると期待できます。
利用するギャンブルの選択肢が増える
ギャンブルファンの人にとって嬉しいのは、利用するギャンブルの選択肢がひとつ増えることです。
オンラインカジノでも、リアルカジノと同じゲームを楽しめます。
しかし、リアルカジノの雰囲気は別物です。
オンラインカジノでは配信されていないゲームを楽しめる可能性もあります。
ある種の社交場として、他の参加者との交流を図れることも、リアルカジノならではのメリットです。
カジノ法案で懸念されるデメリット
カジノ法案は、経済効果をはじめとする様々なメリットを生み出します。
一方で、懸念されているデメリットもあります。
デメリットの存在を理由に、地域によってはカジノ誘致を反対する市民の存在も目立ちます。
カジノ法案によって生まれるデメリットを、具体的に説明します。
- ギャンブル依存症患者が増える恐れがある
- 地域の治安が悪化する可能性がある
- マネーロンダリング
ギャンブル依存症患者が増える恐れがある
カジノ法案が生まれることで、特に懸念されているのはギャンブル依存症の問題です。
カジノが誕生することにより、日常的にカジノに足を運ぶ地域住民が出現します。
したがって、ギャンブル中毒になるのではないかという懸念があります。
依存症の患者が増えると、自分自身だけではなく、家族の人生を破滅させてしまう人が出ても不思議ではありません。
厚生労働省によると、日本国内には、およそ500万人のギャンブル依存症患者がいます。
日本のギャンブル中毒者は、諸外国と比べても多い人数です。
競馬やパチンコなどのギャンブルが身近に多いことが主な理由と考えられます。
ギャンブル中毒者に関する問題に対しては、日本政府は早い段階で対策に乗り出しています。
対策としては主に、
- 入場料は6,000円
- 1か月の入場回数は10回まで
- 1週間の入場回数は3回まで
- マイナンバーの提示
となっています。
上記の対策の導入により、ギャンブル依存症患者の増加を抑えられます。
また、外国人観光客は、上記の対策の対象外となります。
IRは、日本人がメインターゲットではありません。
外国からの観光客がメインターゲットとなっています。
外国人観光客には、存分に楽しんでもらうことで、経済効果をさらに上げるためです。
したがって、日本人に対して厳しいのは、仕方ありません。
地域の治安が悪化する可能性がある
IRに反対の立場を取る市民団体などが主張することが多いのが、地域の治安悪化です。
日本では、カジノ=悪というイメージが根深く、「カジノに集まる人は悪人が多い」というイメージが付いています。
暴力団関係者など、反社会的勢力の施設利用は制限される可能性が高いです。
しかし、制限されていても、「暴力団関係者が地元に集まるのではないか」と不安に感じる人が多いのは、当然と言えます。
中には、外国人観光客が増えること自体に不安を抱える人もいます。
海外では、カジノの周辺に質屋が多く集まるという実例があります。
持ち物を全て売却して、カジノの資金に充てるような人が増えます。
したがって、カジノで負けて財産を失い、ヤケになった人が街中に出ることを想像すると、「自分の住む街にカジノはいらない」と主張する人が多いです。
マネーロンダリング
カジノは、昔からマネーロンダリング(資金洗浄)のために利用する人が多いと言われています。
マネーロンダリングで使われるお金は、犯罪などが絡んでいる、堂々と市場に流せないお金ばかりです。
当然、マネーロンダリング目的でカジノを訪れる人は、何らかの犯罪でお金を稼いだ人と見るべきです。
日本は、マネーロンダリング対策が甘い国として名指しされることがあります。
脆弱性を狙って、日本のカジノに狙いをつける国内外の反社会的勢力は多いです。
マネーロンダリングを目的とする人が大勢訪れると、治安の悪化が考えられます。
また、国としての国際的評価を下げる一因となる恐れもあります。
カジノ法案によってIRが誕生する可能性のある地域(候補地)
カジノ法案によってIRが誕生する可能性のある国内の地域(候補地)を紹介します。
まだ誘致の有無がはっきりしていない地域もあり、誘致先は確定していません。
横浜市のように劇的な動きを見せている地域もあるので、チェックしてみましょう。
大阪(夢洲)
現時点で最有力候補の一つとして挙げられているのが大阪・夢洲です。
夢洲は、人工島として整備されましたが、長年にわたって明確な利用目的を決められずにいました。
しかし、2025年の大阪万博開催地となることが決まり、大阪万博に乗じてカジノ誘致にも積極的に乗り出しています。
長崎(ハウステンボス)
長崎では、すでに国内外からの知名度が高い「ハウステンボス」の一部をカジノにするという方針でIR誘致を行っています。
ハウステンボスも大阪と同じように、住民には賛成派が多いです。
大掛かりな建築等が不要なので、障害となるポイントが見当たりません。
和歌山(マリーナシティー)
和歌山マリーナシティーは、関西国際空港からのアクセスが良く、地盤も固まっているため、早期開業が見込めるという特徴があります。
ただし、近隣には最有力候補の大阪があり、地域住民から反対されていることが難点です。
愛知(名古屋市)
愛知・名古屋は、日本三大都市の一つであり、カジノ用地として広大なスペースの確保が可能です。
ただし、誘致先が愛知県と名古屋市に分かれており、一枚岩になっていません。
愛知(常滑)
常滑は、2015年に中部国際空港が開港されました。
さらに、2019年には、愛知国際展示場が開業されたことで、周辺交通網が非常に発達しているのが強みです。
東京(お台場)
東京・お台場は、アクセスの良さとしては、他の誘致候補と比べてもかなり良いです。
また、首都である東京ということもあり、海外から注目されやすい観光地が多く存在します。
まとめ
カジノ法案の正式名称は「IR推進法」です。
カジノ法案により、日本国内に最大3ヶ所のカジノができる可能性が高まりました。
現在の誘致先の候補としては、
- 夢洲(大阪)
- マリーナシティ(和歌山)
- ハウステンボス(長崎)
- 名古屋(愛知)
- 常滑(愛知)
- 台場(東京)
となります。
IRの誘致によって、経済効果や雇用促進などのメリットがあります。
しかし、治安悪化や依存症問題なども懸念されています。
したがって、誘致先を巡る今後の展開にも注目が集まっています。